証拠が少ないなかでひとつずつ交渉
ある女性の方が交通事故で残念ながらお亡くなりになった事案のご相談でした。
保険会社から賠償金額についてご遺族にお知らせがありましたが、被害者の方がお亡くなりになっており目撃者もおらず、もちろん監視カメラなどもなかったので、賠償額の算定基準となる証拠が少ないなかでの提示でした。
そこで賠償の基準となる前提条件について、ひとつずつ加害者側の保険会社と交渉をはじめました。
「自転車に乗っていたか、押して歩いていたか」でも賠償額が変わる
例えば被害者の方が自転車に乗っていたか、それとも自転車を押して歩いていたかによっても過失割合が変わってきますし、当然賠償額も変わってきます。
保険会社は「自転車に乗っていた」という前提でしたが、事故の状況から「押して歩いていた可能性も否定できない」と判断し交渉した結果、こちらの条件が通りました。
そのほかにも「主婦としての実態があったか」「葬儀代の金額」など賠償が加算される条件をひとつずつ重ねていき、最終的にはご遺族の方に納得してもらえる金額で示談が成立しました。
ご遺族が納得されるのは金額ではなく気持ち
今回の交渉も含めて強く感じるのは「ご遺族の方が納得されるのは金額ではなく気持ち」だということ。
保険会社から「なるべく安く済ませよう」といった雰囲気で提示されるものは、金額よりもその気持ちに納得できないのだと思います。
私は弁護士として、結果的に賠償金額が希望するものでなかったとしても、依頼者に「ここまでやってもらった。納得できた。」と感じてもらえるような交渉を続けていきたいと思っています。