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日弁連交通事故相談センターについて

Q1日弁連交通事故相談センターは、どのような法人ですか。

A1日本弁護士連合会(日弁連)が、基本的人権の擁護と社会正義の実現を図るため、昭和42年に、当時激増した交通事故の被害者の救済を図ることを目的として、運輸大臣(当時)の許可を得て設立した法人です。

Q2日弁連交通事故相談センターは、どのような事業を行っているのですか。

A2日本全国の相談所で交通事故の民事責任に関する相談を、本部及び40支部で示談あっせん及び審査を弁護士が無料で行っています。

詳しくは「電話相談」「面接相談」及び「示談あっせん・審査」のページをご覧ください。

Q3日弁連交通事故相談センターを利用するメリットは何ですか。

A3当センターを利用するメリットは以下のとおりです。

1 国の認定を受けた公益財団法人であり公正・中立で安心
2 国からの補助金等で運営していることから相談費用は無料、原則5回まで相談が可能
3 年間36,758件(令和4年度実績)の豊富な相談実績
4 示談あっせんにより申出者の86.58%(令和4年度実績)が示談成立
5 相談等は全て弁護士が対応
6 北海道から沖縄まで全国に相談所

Q4公益財団法人交通事故紛争処理センターとの違いは何ですか。

A4交通事故紛争処理センターは損害賠償額が確定できる状態になった後の「和解あっ旋」(当センターの示談あっせんに相当します)を行っているのに対して、当センターではこれに加え、交通事故発生初期の段階、例えば事故直後や治療中であっても「電話相談」「面接相談」を無料で行っています。

電話相談・面接相談について

Q5どのような立場の人が相談できますか。

A5国内自動車事故において、事故の当事者又はその同居の親族、四親等内の親族及びこれらに準ずる者であれば、被害者、加害者どちらの立場の方でもご相談できます。

Q6どんなことを相談できますか。

A6実際に国内で起こった自動車・二輪車事故の民事責任に関する問題についてなら、どんなことでもご相談いただけます。人損事故だけではなく、物損事故についてもご相談いただけます。

詳しくは「電話相談」のページをご覧ください。

Q7警察に逮捕されたことなどへの対応や、免許停止などの処分を受けたことへの対応について、相談できますか。

A7刑事処分・行政処分に関する相談は受け付けておりません。

Q8事故にあってしまい不安です。初めてのことなので、どうしたら良いか分かりません。具体的に相談することがなければ弁護士に相談することはできないのですか。

A8どんな人でも交通事故にあえば不安になります。ご不安なときには、是非、当センターにご相談ください。弁護士が相談者の立場に立って今後の流れについて、詳しくご説明いたします。

Q9後遺障害等級認定がなされました。適切な等級かどうか助言してもらうことはできますか。

A9弁護士が助言いたします。まずは「面接相談」をご利用ください。

Q10保険会社から賠償額の提示がありました。適正かどうか見てもらうことはできますか。

A10弁護士が助言いたします。まずは「面接相談」をご利用ください。

Q11電話による相談は、どのような手順で利用したら良いのですか。

A11交通事故に関する資料をご用意のうえ、電話相談専用番号(0120-078325)にお電話ください。弁護士が対応いたします。

なお、毎週月曜日・水曜日(祝日・第5週を除く)は19時まで相談時間を延長して対応していますので、併せて、ご利用ください。

詳しくは「電話相談」のページをご覧ください。

Q12面接による相談は、どのような手順で利用したら良いのですか。

A12お近くの相談所までお電話ください。相談日時や予約方法は相談所によって異なりますのであらかじめお問合せのうえ、ご来所ください。(お近くの相談所の検索はこちらから。

Q13メールによる相談は行っていますか。

A13メールによるご相談は受け付けておりません。

Q14電話や面接による相談を受けるときに費用は掛かりますか。

A14相談費用は掛かりません。当センターは、国や関連諸団体からの補助金や弁護士などからの寄付金で運営しています。

ただし、お電話代、面談のため来所される際の交通費などはご自身でご負担ください。

Q15何回まで無料面接相談を利用することができますか。

A15同一事案につき原則として5回まで無料面接相談を利用することができます。

Q16相談を担当する弁護士は、どのような弁護士ですか。

A16当センターが実施する研修会等で交通事故に関する知識の研鑽を重ねた弁護士です。

Q17一度相談して、再度、相談を受けるとき、同じ弁護士に相談を受けることはできますか。

A17相談所によって取扱いが異なりますので、一度ご相談された相談所にご確認ください。各相談所の電話番号は「全国の相談窓口」のページをご確認ください。

Q18相談を受けるときに、何か事前の準備が必要ですか。

A18限られた相談時間(電話相談は10分程度、面接相談は30分程度)を有効かつ効率的に活用するためにも、相談したい事項をまとめたメモの作成や相談に必要な書類のご準備をお願いします。詳しくは「面接相談」のページをご覧ください。

Q19弁護士を探しています。交通事故に強い弁護士を紹介してもらえますか。

A19弁護士の紹介のみの対応はしておりません。当センターの面接相談をご利用のうえ、相談を担当する弁護士に依頼するかをご検討ください。

Q20裁判になった場合、センターで相談を担当してくれた弁護士に事件を依頼することができますか。

A20相談所によって取扱いが異なりますので、各相談所にお問合せください。各相談所の電話番号は「全国の相談窓口」のページをご確認ください。

示談あっせんについて

Q21示談あっせんとは何ですか。

A21示談あっせんとは、損害賠償の金額面で相手方と話し合いがつかないときに、無料で、当センターの弁護士が間に入り、交通事故損害額算定基準、判例、その他を参考に、公正・中立な立場で、示談が成立するようお手伝いするものです。

まず面接相談を受けていただき、示談あっせんに適すると相談担当弁護士が判断した場合、示談あっせん申出の手続をしていただきます。

詳しくは、「示談あっせん・審査」のページをご覧ください。

Q22示談あっせんの制度を利用するメリットは何ですか。

A22示談あっせんは、簡易・迅速な裁判外紛争解決方法の一つであり、いわば調停の民間版とでもいうべき制度で、特に交通事故被害者には極めて有効・有益な制度です。

その特色は以下のとおりです。
1 申出の費用は無料(Q29御参照)
2 公正・中立な弁護士が適正・妥当な解決に向けて調整
3 高い示談成立率
4 早期解決が期待できる

詳しくは、「示談あっせん・審査」のページをご覧ください。

Q23示談あっせんが可能な事案はどのような場合ですか。

A23自賠責保険又は自賠責共済に加入することを義務づけられている車両による「自動車」事故事案です。

1 人損=全て可能(自賠責保険・自賠責共済のみの場合、無保険の場合でも可能)
2 人損を伴う物損=全て可能(自賠責保険・自賠責共済のみの場合、無保険の場合でも可能)
3 物損のみ=損害賠償義務者が指定の任意保険又は任意共済のいずれかに加入している場合

詳しくは、「示談あっせん・審査」のページをご覧ください。

Q24示談あっせんの利用ができない事案はありますか。

A24次の1~6のどれか一つに該当するとき、示談あっせんの申出を受け付けることができません。

1 調停又は訴訟手続に係属中であるとき
2 他の機関に示談あっせんを申し出ている事案であると認められるとき
3 不当な目的により申出をしたものと認められるとき
4 当事者が権利又は権限を有しないと認められるとき
5 弁護士法第72条に違反する疑いのある者からの申出であると認められるとき
6 以上の他、示談あっせんを行うに適当でないと認められるとき

なお、示談あっせんは、相手方に参加を強制できる制度ではなく、相手方が示談あっせん手続への参加を拒んだ場合は、手続は開始されません。

詳しくは、「示談あっせん・審査」のページをご覧ください。

Q25示談あっせんは、加害者側から申出をすることができますか。

A25示談あっせんは、被害者側、加害者側を問わず申出をすることができます。

Q26示談あっせんは、どのような手順で利用したら良いのですか。

A26示談あっせんをご利用いただくためには、まず当センターの相談所で面接相談を受けて、相談担当弁護士に示談あっせんに適する案件か判断してもらってください。

示談あっせんに適すると判断されたら、申出の手続をしていただきます。

詳しくは、「示談あっせん・審査」のページをご覧ください。

Q27示談あっせんの申出をしましたが、手続が開始されないことはありますか。

A27示談あっせんは、当事者の話し合いのお手伝いをする制度であり、申出の相手方が手続への参加を了承して、初めて手続が開始されます。

そのため、実際にはあまりないケースですが相手方が手続への参加を拒んだ場合は、示談あっせんの手続は開始されません。

Q28示談あっせんはどこで行っていますか。

A28次の支部で示談あっせんを行っています。示談あっせんの申出及び期日の際には、示談あっせん実施支部においでください。

示談あっせんの開催場所一覧へ

Q29示談あっせんの申出をするときに費用は掛かりますか。示談が成立したときに、成功報酬や謝礼を支払う必要がありますか。

A29示談あっせんの申出の手数料は無料です。また、示談が成立したときにも、当センターや示談あっせん担当弁護士に対する成功報酬や謝礼等の費用は掛かりません。

ただし、示談あっせんのため来所される際の交通費等はご自身でご負担ください。

交通事故一般について

Q30交通事故にあったら、まず現場では何をしたら良いですか。

A30直ちに運転を停止し、第1に「負傷者の救護活動」、第2に「危険防止の措置」、第3に「警察への届出」を行ってください。事故現場で最も優先すべきは人命救助です。負傷者がいないか確認し、必要であれば救急車を手配します。次に事故車両を安全な場所に移動するなど道路上の危険防止措置をとり、最後に警察に届出をします。

今後の連絡のために、相手の連絡先、任意保険会社も確認してください。また周囲で目撃者がいれば後日証人になってくれるように連絡先を聞いてください。ご自身の任意保険会社には事故処理後、速やかに届け出ましょう。

Q31交通事故の加害者はどのような責任を負いますか。

A31 事故を起こした加害者は、以下のとおり、1 刑事上、2 行政上、3 民事上、の3つの責任を負います。

刑事上の責任:罪を犯したとして警察・検察の取り調べを受ける場合があります。起訴されて有罪になると罰金等の刑罰が科されます。
行政上の責任:公安委員会による免許停止、免許取消等の処分を受ける場合があります。
民事上の責任:被害者に対し、事故によって生じた損害について責任の範囲で賠償金を支払う義務を負います。

当センターの相談の対象となるのは「民事上の責任」に限ります。

Q32「交通事故証明書」が必要だと言われました。どのような書類ですか。どのように取り寄せたら良いのですか。

A32 「交通事故証明書」は、事故発生を証明する書類のことです。事故の日時、場所、当事者等の重要な情報が記載されています。

事故の当事者その他一定の方は、「自動車安全運転センター」に申請して交通事故証明書を取り寄せることができます。

取寄せる方法として、1「自動車安全運転センター」の事務所を直接訪問して申請する方法、2 警察署等で交通事故証明書申込用紙を入手してゆうちょ銀行で申請する方法、3「自動車安全運転センター」のサイトにインターネットから申請する方法があります。

なお、写しでも足りる場合には、任意保険会社から写しの交付を受けるのが簡便です。

Q33交通事故の示談交渉はどういったタイミングで行えば良いのですか。

A33車両の損傷等の物的損害については修理費(又は時価)を見積りなどによって確定した後に加害者と示談交渉をします。

怪我等の人身損害については治療が終了し、後遺障害の有無や程度が確定してから加害者と示談交渉をします。

当事者間で示談がまとまらない場合には当センターの示談あっせんを利用する等公平な第三者を介した手続を利用することもご検討ください。

Q34治療が終わり、相手方の保険会社から賠償額の提示を受けました。この賠償金額はどのようにして決まるのですか。

A34事故の加害者が任意保険に加入している場合、任意保険会社が賠償額を提示するのが一般です。

人身損害の賠償額は、治療費、交通費、休業損害、逸失利益、慰謝料等の損害費目を合計した額に過失相殺をした金額です。

損害費目の算定に当たっては、自賠責保険基準、任意保険基準、裁判基準と呼ばれる基準があり、一般に自賠責基準が一番低額であり、裁判基準が一番高額です。

保険会社から提示を受けた賠償額が妥当か否かご疑問がある場合には当センターの相談をご利用ください。

Q35示談とは何ですか。また示談を撤回することはできますか。

A35示談とは、紛争の当事者が、お互いに話し合い、譲り合って紛争を解決する約束をいいます。一度、示談が成立すると示談を撤回したり、示談の対象となった紛争を蒸し返すことは特別の事情がない限りできません。示談は口約束でも有効ですが、後日の争いを避けるため通常は示談が成立すると「示談書」を作成します。

Q36相手方の保険会社と示談交渉をしていますが、どうしても納得できません。公平な第三者の意見も聞きながら自分で解決できる手続はありませんか。

A36事故の相手方と示談交渉がまとまらない場合、当センターの示談あっせん手続や裁判所の調停手続を利用するなどの方法があります。

当センターの示談あっせん手続は、当センターの弁護士が公正中立な立場から当事者の意見の調整を図りますので、早期に納得のできる解決が期待でき、費用も無料です。

Q37訴訟は自分でも起こすことはできますか。

A37我が国では、裁判を利用する場合に必ず弁護士等に依頼しなければならないとされているわけではなく、自分で訴訟を起こすこともできないことはありません。これを本人訴訟といいます。

裁判を起こす場合には、訴状を作成して、管轄の裁判所に提出します。裁判を起こした後は、自分の言い分を書面で主張したり、これを裏付ける証拠を提出したりする手続などが実施されます。これらは全て裁判所内の窓口で聞けばその方法を教えてくれます。

ただし、裁判所は裁判進行上の「手続」は教えてくれますが、裁判を起こしたあと、どうすれば自分の言い分が認められるか、どのような証拠を提出するのが有利か等、裁判を有利に進める方法までは、裁判の公平性や中立性から教えてくれませんので、注意してください。

Q38損害賠償請求はいつまですることが可能ですか。

A38消滅時効が完成するまでの間は損害賠償請求が可能です。不法行為に基づく損害賠償請求の場合、消滅時効が完成するまでの期間は損害及び加害者を知った時から3年間です(なお、2020年4月1日から改正民法が施行されると、人損について旧法による時効が完成していないときには5年間となります)。

ただし、その間に損害の一部の弁済を受けている場合等時効が中断する場合もあります。

消滅時効の完成とは別に、事故の日から20年間経過したときには損害賠償請求ができなくなります。

なお、運送契約等の契約に基づく請求の場合には、より長い期間時効が完成しない場合もあります。

賠償問題が解決しないまま事故から年月が経ってしまっている場合には、なるべくお早めに当センターの「面接相談」にお越しください。

保険について

Q39自動車で、交通事故を起こしてしまいました。加害者として使える保険にはどのようなものがありますか。

A39自賠責保険と任意保険があります。任意保険には、対人賠償保険、対物賠償保険等があります。

Q40自賠責保険と任意保険の違いは何ですか。

A40自賠責保険とは、自動車損害賠償保障法により、自動車やバイクにおいて、加入が義務づけられている、いわゆる強制保険です。自賠責保険は、人損にのみ対応できる保険であり、物損には使えません。また、法定の支払限度額もあります。

任意保険とは、法律上は加入が義務づけられていないものの、自賠責保険ではまかなえない部分(自賠責保険の支払限度額を超える場合や、物損の場合)について、支払をする保険です。

Q41内払制度とは何ですか。

A41内払制度とは、法律で定められた制度ではなく、保険会社が加害者や被害者の便益のために設けたものです。例えば、傷害による治療費や休業損害について、被害者が治療継続中のため総損害額が確定しないときでも、既に発生した治療費や休業損害については内払制度により保険会社から病院や被害者に対して支払われることとなります。

ただし、あくまで保険会社が加害者や被害者の便益のために設けたもので、一方的に支払を義務づけることは、原則としてできません。

緊急に給与等の支払が必要なときには、裁判所に対して仮払い仮処分の申立てをすることで、加害者側に休業損害を支払わせることができる場合もあります。

Q42仮渡金制度とは何ですか。

A42仮渡金制度とは、自賠責保険が設けている制度であり、一定の事情がある場合には、損害額が確定する前でも、一定額については、被害者に先に支払われる制度です。

請求できる金額は、傷害の内容や程度によって異なりますので、加害者の自賠責保険会社にご確認ください。

Q43ひき逃げにあって、怪我をしてしまいましたが、事故の相手が誰か分かりません。かかった治療費等については、どうしたら良いですか。

A43事故の相手方が分からない以上、相手方への請求は不可能です。

ご自身で人身傷害保険等の保険に加入していれば、その保険で治療費等の支払いをしてもらうことができることがあります。ご自身で、どのような保険に加入しているかを含め、ご自身の加入する保険会社にご相談ください。

また、政府保障事業に対し、治療費等を請求することができます。

政府保障事業は、ひき逃げ事故や無保険車事故にあった被害者に対し、健康保険や労災保険等の他の社会保険の給付や本来の損害賠償責任者の支払によっても、なお被害者に損害が残る場合に、最終的な救済措置として、法定限度額の範囲内で、政府がその損害をてん補する制度です。

政府保障事業に対するご相談も当センターでお受けしていますので、ご利用ください。

Q44当て逃げにあって、車が壊れてしまいましたが、事故の相手が誰か分かりません。かかった修理費については、どうしたら良いですか。

A44ご自身が自動車保険の車両保険に加入している場合には、これを利用することが考えられます。

なお、政府保障事業に対する請求は人身損害に限られ、修理費などの物的損害を請求することはできません。

Q45事故の相手方が保険に加入しているか分かりません。どうしたら良いですか。

A45交通事故証明書には、相手方の加入している自賠責保険の保険会社や証明書番号が記載されているので、それを参照してください。

自賠責保険と異なり、相手方が任意保険に加入しているか否かを簡易に調査する方法はありません。このようなときには、ご自身が自動車保険の人身傷害保険に加入しているのであれば、これを利用することも考えられます。

Q46交通事故の怪我の治療のために病院に行ったところ、病院から「交通事故の場合には、健康保険は使えない」と言われました。本当ですか。

A46健康保険を利用することはできます。ただし、労災保険が適用されるときは、健康保険は利用できません。また、健康保険を利用したときには、病院によっては、自賠責保険専用の書式での診断書や後遺障害診断書を作成してもらうことができない場合がありますので、事前に病院と相談してください。

Q47交通事故の怪我の治療のために病院に行ったところ、病院や勤務先から「交通事故の場合には、労災保険は使えない」と言われました。本当ですか。

A47労災保険を利用することはできます。ただし、病院によっては、自賠責保険専用の書式での診断書や後遺障害診断書を作成してもらうことができない場合がありますので、事前に病院と相談してください。

なお、勤務中の場合はもちろん、通勤中であったとしても、労災保険を利用することは可能です。勤務先が労災保険の利用に協力してくれない場合には、労働基準監督署に相談してください。

Q48自転車事故を起こし、相手が怪我をしました。何か使える保険はありますか。

A48個人賠償責任保険に加入している場合は、その利用が考えられます。

個人賠償責任保険は自動車保険や火災保険に付帯されていることがあり、学校等の団体で加入していることもありますので、保険会社等にご確認下さい。

なお、自転車にTSマークが貼られている場合には、TSマークに付帯された自転車の保険が使える場合がありますので、こちらについても、保険会社等にご確認ください。

Q49交通事故にあい、怪我をしました。弁護士に依頼しようかと思っていますが、弁護士費用を保険でまかなうことはできますか。

A49ご自身等が加入している自動車保険に弁護士費用特約が付帯されていれば、保険金の支払限度額の範囲でまかなうことができます。

詳しくは、ご自身等が加入している自動車保険の保険証券と約款をご持参のうえ、面接相談においでください。

なお、自動車保険以外にも、火災保険や学校や勤務先で加入している保険で、弁護士費用特約を利用することができる場合もあります。

損害について

Q50交通事故に関する損害にはどのようなものがありますか。

A50交通事故の被害者が被った損害は、財産的損害及び精神的損害に分けられ、財産的損害は積極損害と消極損害に分けられます。

人身事故の場合の積極損害とは、交通事故のために被害者が支払わなくてはならなくなった損害で、被害者が死亡した場合は葬儀費用、怪我をした場合には、治療費、介護費、入院雑費、交通費などがあります。

消極損害とは、事故にあったため、事故がなければ得られたであろう利益が得られなくなった場合に認められる損害で、入通院等で仕事を休んだ場合の休業損害、後遺障害による逸失利益、死亡による逸失利益があります。

精神的損害とは、いわゆる慰謝料のことをいいます。

物損事故の場合は、積極損害として自動車の修理費用や買替え諸費用、修理の間の代車費用、消極損害として休車損害などがあります。なお、物損事故については、原則として精神的損害は認められません。

Q51相手の保険会社が治療費を打ち切るといってきましたが、まだ通院中です。これ以上治療費を支払ってもらうことはできないのですか。

A51交通事故によって怪我をした場合、いわゆる「症状固定」までの間の治療費は、加害者(及びその保険会社)に対して支払いを請求することができます。ここで「症状固定」とは、治療を続けてもそれ以上症状の改善の望めない状態をいい、完全に事故前の状態に戻っていなかったとしても、「症状固定」以降は、加害者側からの治療費の支払も打ち切られます。

本来であれば、症状固定までの間の治療費は加害者側が支払わなければなりませんが、症状固定前に加害者側が合理的根拠もなく「症状固定」を主張し治療費の支払をやめてしまい、その後交渉しても支払ってもらえない場合もあります。

そのような場合は、一旦被害者で立て替え払いをしておき、最後に裁判等により支払を求めることになります。

Q52交通事故で怪我をしたため、仕事を休まなくてはならず給料が支払われなくなってしまいました。仕事を休んだ分の給料を相手方に支払ってもらうことはできるのでしょうか。また、すぐ支払ってもらえるのでしょうか。

A52交通事故による入通院などで仕事を休まざるを得なくなり、そのために給料が支払われなかったり、収入が減少した場合には、その減少分について加害者側に休業損害として賠償請求することができます。

給与は日々の生活費に充てられるものですから、これが支払われないとなると、生活に支障が出ることになります。そのため、一般的には任意保険会社は休業損害の内払をしますが、加害者側が休業損害の支払を拒絶している場合で、緊急に給与分の支払が必要なときには、裁判所に対して仮払い仮処分の申立てをすることで、加害者側に休業損害を支払わせることができる場合もあります。

Q53後遺障害とは何ですか。

A53交通事故によって怪我をしてしまったとき、被害者は入院や通院によって医師の治療を受け、その回復を図ります。しかし、医師による治療を受けても完全に事故前と同じ状態には戻らず、心身に一定の障害が残存する場合があり、これを「後遺障害」といいます。

Q54後遺障害の等級認定とは何ですか。どこが等級認定の調査をするのでしょうか。

A54 後遺障害等級とは、後遺障害の程度を表すものです。

後遺障害が残った場合に、後遺障害の等級を認定してもらうためには、通常、治療にあたり症状固定であると判断した医師に「後遺障害診断書」を作成してもらいます。この診断書に基づいて後遺障害の等級認定を受けることになります。自動車事故においては、「損害保険料率算出機構」が等級認定の調査を行います。

後遺障害の等級認定手続についてのご相談は当センターをご利用ください。

Q55後遺障害等級認定において、非該当と認定されましたが、納得がいきません。どうしたら良いですか。

A55後遺障害の等級認定に不服があれば、異議申立てをすることができます。異議申立てに回数の制限はありません。

さらに、異議申立てに対する結果について不満があるときは、「(一財)自賠責保険・共済紛争処理機構」へ調停の申立てをすることもできます。

調停の結果に対しても不満が残る場合には、訴訟において等級を争い、裁判所に判断してもらうことになります。

当センターでは、後遺障害等級認定に対する異議申立てのご相談にも応じています。

Q56後遺障害が残った場合、加害者側に対してどのような請求ができますか。また、後遺障害の等級は、賠償請求に当たって、どのような影響がありますか。

A56後遺障害が残った場合、加害者側に対して後遺症慰謝料と後遺症逸失利益を請求することができます。

後遺症慰謝料は、等級によって支払われる金額が異なり、また、逸失利益においては、等級によって、労働能力喪失率に違いがあり支払われる金額に差が出てくることになります。

Q57後遺障害が残った場合、障害によって将来の収入が減少する分について相手方に賠償してもらうことはできますか。

A57交通事故による後遺障害が残った場合、通常は、その後遺障害等級に基づき、一定の割合で労働能力の喪失が認められます。

したがって、被害者は、以下の算式に基づき、後遺症逸失利益を加害者側に賠償請求することができます。

基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

上記算式の要素である「基礎収入額」、「労働能力喪失率」、「労働能力喪失期間」は、被害者の年齢、職業や後遺障害の内容等複数の要素により決まりますので、後遺症逸失利益の具体的な試算については当センターにてご相談ください。

Q58後遺症逸失利益の算出に当たっては中間利息を控除すると聞きました。中間利息の控除とはどういうことですか。

A58後遺症逸失利益の請求は、本来長期間にわたって分割して支払われるはずである収入を、失われた部分につき一括して支払うことを求めるため、その間に発生する利息を控除する必要がある、との考えのもと、後遺症逸失利益については中間利息の控除がされます。

中間利息控除の方式として、現在は、複利方式で控除利率を年5%として算出されたライプニッツ係数を利用して算出する、いわゆる「ライプニッツ方式」が採用されています(なお、2020年4月1日から改正民法が施行されると、同日以降に発生した交通事故については、控除利率は3%となり、以降、一定期間を経過するごとに見直しがされます。)。

Q59高次脳機能障害とは何ですか。

A59交通事故で脳に損傷を受けて意識障害が続いた場合、その後一見回復したように見えても、記憶力・集中力・判断力等が低下し、人格変化が生じることがあります。これを高次脳機能障害といいます。

高次脳機能障害は、脳損傷により身体が不自由になるような外部からもはっきり分かる脳の障害と異なり、脳の障害の残存が周囲で分かりにくいのが、特徴です。

高次脳機能障害への対策の必要性がクローズアップされる流れを受けて、当センターでは高次脳機能障害に関する無料相談所を設けていますのでご利用ください。高次脳機能障害についての詳細はこちらをご覧ください。

Q60事故にあったので、加害者に慰謝料を支払ってもらいたいと思っています。どのような場合にどのような慰謝料を支払ってもらえますか。

A60慰謝料とは、交通事故で被害者が負った精神的・肉体的な苦痛などに対する賠償等のことです。交通事故における慰謝料は、一般的に、死亡慰謝料、入通院慰謝料、後遺症慰謝料に分けられています。

被害者が死亡した場合に発生する慰謝料が、死亡慰謝料です。

被害者が怪我をしたときには、怪我の治療のために入院又は通院せざるを得なかったことに対する入通院慰謝料と、治療をしたものの後遺障害が残ってしまった場合には、そのことに対する後遺障害慰謝料を請求することができます。

それぞれの慰謝料額の具体的な算定については、当センターの相談で助言いたしますので、ご利用ください。

Q61事故で車が壊れてしまいました。修理をすれば今後も乗ることはできるので、修理をする予定ですが、修理をしても事故車として、車自体の価値が下がってしまいました。修理代金以外に、車の価値が下がってしまった分について、相手方に支払請求をすることはできますか。

A61交通事故で車両が壊れ、修理をしても機能上の問題や外観の損傷が残ってしまった場合、あるいは、事故歴がついたことによって、価値が下がってしまった場合など、事故前の車両価額と修理後の車両価額に差が生じた場合、その差を評価損といい、こういった評価損について加害者側に損害賠償請求できるかどうかが問題となります。

機能上や外観上の価値低下については、賠償されるのが一般的です。事故歴による価値低下についても、賠償を認めた裁判例があります。

特に事故歴による価値低下について争いになることが多く、当センターでは評価損に関しても相談に応じています。

Q62事故で車が壊れてしまいました。自分としては思い入れのある車なので、修理をしてこのまま乗り続けたいと思っているのですが、相手方保険会社から、全損なので修理費ではなく、時価額しか支払えないと言われました。この場合、修理費用を支払ってもらえませんか。

A62修理が可能な場合であっても、修理費用が車両時価額と買替諸費用を合計した額を超える場合には、修理費用ではなく、車両時価額と買替諸費用を合計した額から被害車両の処分価格を控除した残額についてのみ賠償請求することができます。

したがって相手方保険会社が主張する車両時価額が適正であれば、これを超える修理費用全額を支払ってもらうことはできません。

Q63事故の相手側から私にも過失があり、過失割合は私が10%、相手が90%と言われました。過失割合はどのようにして決まるのですか。

A63過失割合は、道路交通法上の優先関係、事故の予見・回避可能性や歩行者等の交通弱者の保護などいくつかの観点から決まります。

実務における具体的な基準としては、別冊判例タイムズ38号「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準(全訂5版)」(東京地裁民事交通訴訟研究会編)や当センター東京支部が発行している「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(「赤い本」)に掲載された過失相殺基準が参考にされています。

実際の事故における過失割合についてのご相談は、当センターの「面接相談」をご利用ください。

また過失割合に関する相談事例も掲載していますのでぜひご覧ください。

Q64好意同乗減額とは何ですか。

A64好意(無償)で自動車に同乗させたところ交通事故を起こし、同乗者に怪我をさせてしまう場合がありますが、これを好意(無償)同乗といいます。同乗していた被害者にも事故の発生や損害の拡大について落ち度がある場合には、同乗者が損害賠償請求するに際して賠償額が減額されることもあります。ただし、一般に単に交通事故を起こした自動車に無償で同乗していたというだけでは、減額はされません。

Q65相手方の保険会社から賠償提示を受けたのですが、私の持病が原因で治療期間が長引いたので、一部は賠償しないと言われました。事故によって治療を余儀なくされたのですから納得できません。保険会社の言い分に従わなくてはならないのですか。

A65被害者が事故前から有していた素因が原因となって治療期間が長引いたとして、加害者が通常の治療期間を超える部分を賠償しないと主張する場合があります。これを素因減額と呼んでいます。

しかしながら、裁判所は、素因が疾病に当たり、かつ、加害者に損害の全部を賠償させるのが公平を失する場合に初めて素因減額の主張を認めています。したがって、被害者の素因によって損害が発生・拡大したとしても、当然に素因減額の主張が認められるわけではありません。

当センターは、素因減額についてのご相談にも応じていますので、ご利用ください。

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