弁護士への相談事例集

増収見込みがあった場合の休業損害・逸失利益の算定方法

記事作成日:

【相談内容】

当センターの面接相談で、休業損害・逸失利益の算定基礎となる収入についての相談がありました。

相談者の方は、横断歩道を歩行中に自動車に衝突され、右中足背骨折等の傷害を負い、事故当日から2か月間入院し、仕事を休みました。後遺障害については、骨折後の神経症状について後遺障害14級9号の認定を受けました。

事故当時は65歳で、定年退職直後だったため派遣労働者としてA社に勤務していましたが、本件事故の1か月後には、もっと高額な収入が得られるB社に入社する予定でした。しかし、事故による入院によってB社での就業が出来なくなってしまいました。

相手方の任意保険会社からは、休業損害や逸失利益を算定するに当たり、A社在職時の収入を基礎収入として計算された賠償額が提案されました。

しかし、事故がなければ、B社でもっと高い収入を得られていたはずであるため、B社で得られたであろう収入額を基礎として休業損害や逸失利益の請求が出来ないかという相談内容でした。

【弁護士の見解・回答】

給与所得者の休業損害については、事故前の収入を基礎として算定されることが原則ですが、休業中に昇給があった後はその収入を基礎として算定するとされています。

今回のケースでは、同一の職場で昇給があった訳ではありませんが、既に新しい勤務先が決まり、B社での稼働予定日や稼働時の時給等の労働条件について提示を受けた書面が残っているということでした。

そこで、その書面を保険会社に提出して、B社での就業開始が予定されていた日以降の休業損害については、提示されていた時給に基づく休業損害の支払を求めてはどうかと助言しました。

また、逸失利益の基礎収入についても、事故前の現実収入が基礎とされるのが原則ですが、将来、現実収入額以上の収入を得られることを立証することによって、その金額を基礎収入とすることが可能になるとされています。

被害者は、専門職の国家資格を有しており、定年退職前の職場における年収は、大卒の年齢別賃金センサス以上の高収入を得ていました。

更に、事故当時は、派遣社員としてA社で稼働していましたが、定年退職した直後であり、条件のいい仕事を探す間の暫定的な短期間の派遣労働契約であったという事情がありました。

実際に事故がなければより時給の高い新たな勤務先であるB社で、70歳の定年までの稼働が予定され、それを証明する書類もありましたので、それらの事情を保険会社に説明した上で、基礎収入についての見直しを求めてはどうかと助言しました。

日弁連交通事故相談センターに相談するメリット

ご相談いただくことで、交通事故の賠償問題について、経験豊富な「弁護士」から「事案に応じた適切なアドバイス」「無料」で受けられます。

一人で悩まないで、ささいなことでもご相談いただくことで、「解決への道筋」が見えてくるはずです。

交通事故にあってしまった時は
まずは、ご相談ください。

・電話相談は10分程度でお願いしております。

・面接相談は30分×5回まで無料です。

当センターの法律相談でよく相談される事例を参考として紹介しています。掲載にあたっては、相談者の秘密に十分に配慮するとともに、わかりやすい内容とするために、事案を加工し、抽象化、一般化、匿名化しています。

また「弁護士の見解・回答」は、記事作成時の法令に基づきます。 その後に法令が改正されている場合がありますので、御留意ください。

-弁護士への相談事例集
-,

Copyright© 公益財団法人 日弁連交通事故相談センター , 2025 All Rights Reserved.