弁護士への相談事例集

交通事故による高次脳機能障害で、後遺障害を認めてもらうための書類について

記事作成日:

【相談内容】

私の夫は、交通事故で頭部を強く打って脳挫傷となり、丸1日以上、意識がありませんでした。その後、意識が戻って快復し、現在は職場に復帰していますが、物忘れがひどくなり、怒りっぽくなってしまいました。

夫の担当医は高次脳機能障害だと診断しています。高次脳機能障害で後遺障害を認めてもらうためには、どのような書類を揃えなければいけないのでしょうか。家族も書類を作る必要があるのでしょうか。

【弁護士の見解・回答】

脳外傷による高次脳機能障害の典型的な症状は、平成30年5月に損害保険料率算出機構が公表した「自賠責保険における高次脳機能障害認定システムの充実について」では以下のようなものとされています。

① 認知障害
記憶・記銘力障害、注意・集中力障害、遂行機能障害など。具体的には、新しいことを覚えられない、気が散りやすい、行動を計画して実行することができないなど。

② 行動障害
周囲の状況に合わせた適切な行動ができない、職場や社会のマナーやルールを守れない、行動を抑制できないなど。

③ 人格変化
受傷前には見られなかった発動性低下と抑制低下。具体的には自発性低下、気力の低下、衝動性、易怒性、自己中心性など。

高次脳機能障害で自賠責保険の後遺障害認定を受けるためには、担当医に、「後遺障害診断書」に加えて、「頭部外傷後の意識障害についての所見」「神経系統の障害に関する医学的意見」という書面を作成してもらい、MRI等の頭部画像検査資料等も提出します。さらに、ご家族も「日常生活状況報告」という書面を作成して提出します。他の後遺障害とは異なる点です。

この報告書は、ご家族、近親者、または介護の方が記載することになっており、日常活動や問題行動などについて、受傷前と受傷後に分けて、例えば「保険証や預金通帳、財布などの大切な物の管理ができますか。」「ムッとする、怒る、イライラなどの表情や態度がみられますか。」などの多数の具体的な質問に答える形で記入するようになっています。一般の方でも作成に不安を抱くことはないと思います。ただ、現在支障が生じていることなどを自由に記入する欄もありますから、日頃からご本人の具体的な行動などを忘れないようにメモしておくのがよいでしょう。

ご相談の被害者の場合、後遺障害認定を申請するに際しては、ご本人の同意が前提となります。被害者によっては、ご自身の障害につき認識がない場合もありますから、このような場合には、申請の前提として、ご本人の精神的なショックに対する配慮を必要とすることもあると思われます。

高次脳機能障害の等級認定には、他の障害とは異なる書面の作成・提出が求められるなど、わかりにくいことがあるかもしれません。当センターでは、交通事故による高次脳機能障害に関する無料相談(面接、電話)を実施しておりますので、ぜひご利用ください。

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ご相談いただくことで、交通事故の賠償問題について、経験豊富な「弁護士」から「事案に応じた適切なアドバイス」「無料」で受けられます。

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まずは、ご相談ください。

・電話相談は10分程度でお願いしております。

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当センターの法律相談でよく相談される事例を参考として紹介しています。掲載にあたっては、相談者の秘密に十分に配慮するとともに、わかりやすい内容とするために、事案を加工し、抽象化、一般化、匿名化しています。

また「弁護士の見解・回答」は、記事作成時の法令に基づきます。 その後に法令が改正されている場合がありますので、御留意ください。

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