弁護士への相談事例集

無保険(保険未加入)モペットと歩行者の衝突事故

記事作成日:

【相談内容】

相談者は、信号機のない横断歩道を徒歩で渡っているとき、道路を走行してきたペダルのついた自転車のような乗り物に衝突され、転倒した際に右手首を地面について怪我をしました。

警察官から、その乗り物はペダル付き電動バイク、とかモペットなどと呼ばれており、ペダルが付いているものの、ペダルを漕がなくてもモーターで自走ができる乗り物だと教えてもらいました。

モペットで走行していた加害者は、20歳の学生でお金がなく、何の保険にも入っていないとのことで、相談者は、自分の怪我の治療費等の損害について、誰にどのような請求ができるのか心配して相談にみえました。

【弁護士の見解・回答】

1 モペットについて

(1)モペットとは、ペダル付電動バイクのことで、ペダル付原動機付自転車、電動バイクなどの呼称で販売されており、普通の自転車のようにペダルを漕いで進むこともできますが、基本的には、ペダルを漕がなくても原動機の力のみで自走することができます。 【よくある質問Q66】

(2)電動アシスト付き自転車との違い

モペットは、見かけは電動アシスト付き自転車と似ていますが、電動アシスト自転車は、電動モーターの力で走行をサポートしてくれるだけで、あくまでも搭乗者がペダルを漕がなければ走行できない自転車です。その点で、原動機だけで走行できるモペットとは異なります。

また、道路交通法施行規則1条の3は、電動アシスト付き自転車の要件を規定していますが、その一つとして、人がペダルを踏む力とモーターによる補助力の比率(アシスト比率)が細かく規定されており、基本的に、時速10km未満ではアシスト比率は1:2(人力の2倍)まで、時速10km以上のスピードになると徐々にアシスト比率が落ちていき、時速24kmを超える走行にはアシストが加わらないことが求められています。

法定の電動アシスト比率を超えたり、原動機の力だけで自走できるものは、ペダルを漕いで走行する機能があるとしても、電動アシスト付き自転車には該当せず、定格出力により原動機付自転車もしくは自動車の範疇に入ります。【よくある質問Q68】

(3)モペットを道路上で運転するには

モペットは、道路交通法上および道路運送車両法上、原動機付自転車、定格出力によっては自動車に該当するので、原動機を使用せずにペダルを漕いで人力のみによって走行していたとしても、「運転」(道交法2条1項17号)、「運行」(道路運送車両法2条5号、自賠法2条2号)に該当します。モペットを運転するには、主に以下のことが必要です。

①運転免許
当該モペットを運転することができる運転免許(原付免許・二輪免許・普通自動車免許等)を受けていること(道路交通法64条、84条)。

②ナンバープレートの表示
市区町村税条例等で定める標識(ナンバープレート)を車両の後面に見やすいように表示すること

③保安基準を満たした装置
道路運送車両法に定められている保安基準に適合した制動装置(前後輪)、前照灯、制動灯、尾灯、番号灯、後写鏡、方向指示器、警音器等を備えていること(道路運送車両法41条、44条)

④自賠責保険(共済)の契約
道路で運行するためには、自動車損害賠償保障法に基づき、自動車損害賠償責任保険又は自動車損害賠償責任共済の契約がされていること(自賠法5条、道路運送車両法2条2項、3項)

⑤ヘルメットの着用(道交法71条の4)

2 無保険の加害モペットに関する請求

モペットは、道路運送車両法2条3項の原動機付自転車(定格出力によっては同条2項の自動車)に該当しますので、モペットで道路を走行中に歩行者に衝突してけがをさせた場合には、自賠法3条の自動車損害賠償責任や不法行為責任が生じる可能性があり、ご相談のケースでは、加害者に対して、自賠法3条や民法709条に基づき治療費等の損害の賠償を請求することになりそうです。しかし、加害者に十分な資力がなければ、実際に賠償金を受けとることはできないかもしれません。

前述のとおり、モペットは、道路を運行する場合には自賠責保険(共済)締結が強制されていますが、今回の加害者は自賠責保険(共済)にも任意保険(共済)にも加入していなかったとのことですから、自賠責保険(共済)や任意保険に請求することもできません。

このような場合、政府保障事業に損害の填補請求をすることが考えられます(自賠法71条)。政府保障事業は、自賠責保険(共済)に加入していない無保険車による事故の被害者や、事故の加害者がひき逃げをして加害者不明の事故の被害者を救済するため、国が自賠責保険(共済)と同等の損害を塡補する制度です。

請求は、政府保障事業を取り扱う損害保険会社(共済組合)の全国各支店等の窓口で受付けています。傷害、後遺障害、死亡に関する填補の法定限度額、支払基準は、自賠責保険の限度額、支払基準と同じです(自賠法施行令20条)。

ただし、政府保障事業は、社会保障的要素の強い制度であることから、自賠責保険と取り扱いが異なる場面もあり、例えば、被害者が健康保険法による給付や労働者災害補償保険法による給付を受けることができる場合には、その給付に相当する金額については、政府保障事業による填補はされない等、注意を要します。

日弁連交通事故相談センターに相談するメリット

ご相談いただくことで、交通事故の賠償問題について、経験豊富な「弁護士」から「事案に応じた適切なアドバイス」「無料」で受けられます。

一人で悩まないで、ささいなことでもご相談いただくことで、「解決への道筋」が見えてくるはずです。

交通事故にあってしまった時は
まずは、ご相談ください。

・電話相談は10分程度でお願いしております。

・面接相談は30分×5回まで無料です。

当センターの法律相談でよく相談される事例を参考として紹介しています。掲載にあたっては、相談者の秘密に十分に配慮するとともに、わかりやすい内容とするために、事案を加工し、抽象化、一般化、匿名化しています。

また「弁護士の見解・回答」は、記事作成時の法令に基づきます。 その後に法令が改正されている場合がありますので、御留意ください。

-弁護士への相談事例集
-, ,

Copyright© 公益財団法人 日弁連交通事故相談センター , 2026 All Rights Reserved.