相談内容
当センターの面接相談で、修理工場から代車として借りていた車を運転中の交通事故について相談を受けました。
相談者は、自分の自動車を修理するために修理工場に入庫し、その代車として修理工場から借りていた自動車を運転中、信号待ちのために停止中の前の車に追突して前の車の運転者に怪我をさせてしまいました。
相談者が修理工場に相談したところ、「代車の修理代は請求しないが、任意保険に入っていないので事故の相手への賠償は自分で行うように」と言われたとのことでした。
そして、事故の相手から、被害車両の修理代の外に、治療費、交通費、休業損害、傷害慰謝料の請求を受けており、どのように対応すればよいかアドバイスを受けたいとのことでした。
弁護士の見解・回答
まず、代車は、任意保険に加入してないとしても、強制保険である自賠責保険には加入しているのが通常です。自賠責保険の契約があれば、事故の相手の人身損害について傷害に関して120万円の範囲で支払いを受けることが可能です(物的損害は自賠責保険の支払いの対象外)。
また、相談者が自分の自動車にかけている任意保険には、他車運転特約が自動付帯されているのが通常です。他車運転特約は、他人の車を一時的に借りて事故を起こしたとき、自身の自動車保険で補償が受けられる特約です。
例えば、友人の車を借りたり、レンタカーや代車を借りたときに事故を起こした場合に、一時的に使用中の他人の自動車を契約自動車とみなして、対物賠償責任保険金や対人賠償責任保険金等を支払う保険です。
したがって、修理工場に入庫した相談者の自動車にかけている任意保険に他車運転特約がついていれば、事故の相手の人身損害(治療費、交通費、休業損害、傷害慰謝料等)だけでなく、物的損害(相手自動車の修理費、代車料等)の支払いを受けることが可能です。
面接相談では、以上を説明したうえ、相談者の自動車に他車運転危険担保特約があるか確認したところ、任意保険に付帯されていることが判明したため、任意保険会社に連絡し、他車運転危険担保特約を利用して相手に賠償金を支払うよう助言しました。