【相談内容】
当センターの面接相談で、弁護士費用について相談を受けました。
治療終了後、加害者の加入する任意保険会社から提案された治療費、休業損害や慰謝料などの賠償金額に納得できないが、自分で交渉する自信がないのでどうしたらよいか、弁護士に依頼すると弁護士費用はいくらくらいかかるのか、という相談を受けました。
【弁護士の見解・回答】
1 日弁連交通事故相談センターの示談あっせん
このような場合、当センターの示談あっせんという解決方法があります。
示談あっせんとは、被害者と加害者(加害者側が加入する任意保険会社等)間に当センターの示談あっせん担当弁護士が入って、中立かつ公正な立場にたって双方の言い分や資料をもとに、裁判例や当センターで発行する交通事故損害賠償額算定基準(通称「青本」)や民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準(通称「赤い本」)などを参考にして、適正かつ迅速に示談が成立するようお手伝いする制度です。
当センターの面接相談を受けていただき、相談担当の弁護士が示談あっせんに回付することが適当と判断した事案について利用することができます。
例えば、自賠責基準による慰謝料を提案されていたような場合に、当センターの示談あっせんを利用することで「赤い本基準」による慰謝料金額に近づく可能性もあります。
日弁連交通事故相談センターの示談あっせんは、面接担当弁護士があっ旋回付相当と判断すれば弁護士を頼まなくてもご本人が申し立てることができ、申立費用も無料ですから、弁護士費用を心配する必要はありません。
また、示談あっせんの多くの事例は2回以内の期日で解決しており、早期の解決が期待できます。もちろん、示談あっせんはあくまでも両当事者間の話し合いを仲介する制度であるため、話し合いがつかなければ示談は成立しませんが、それでも日弁連交通事故相談センターに申し立てられた示談あっせんのうち8割以上の事案は示談が成立しており、紛争解決の実効性も高い制度です。
2 弁護士費用特約
当センターの示談あっせんを利用できない場合や示談あっせんが不調に終わった場合に弁護士を依頼するとしたら、弁護士費用はいくらくらいかかるのか。
これは難しい質問で、昔は日弁連が弁護士報酬基準を定めていたのですが、現在ではそれぞれの弁護士が独自の報酬基準を規定することになっているので、一概にいくらと言うことができません。依頼する前にその弁護士の報酬基準をよく確認してください。
ところで、最近では、ご自身の加入している自動車保険等に弁護士費用特約が付いている場合もあり、この特約を利用すると弁護士費用の実質的な負担なしに弁護士に示談交渉や裁判を依頼することができるかもしれません。
そのため、ご自身がこのような特約が付いている保険に加入していないかについてもよく確認するようにしてください。