相談内容
当センターの面接相談で、相談者である被害者について「もしかすると外傷性の高次脳機能障害を発症しているのでは?」と思われたケースがありました。
弁護士の見解・回答
相談者は、歩行中に自動車に衝突され、頭を強く打ち、頭蓋骨骨折や急性硬膜下血腫等の傷害を負い、しばらく意識不明で生死の境をさまよう重篤な状態が続いたものの、幸いにも意識が回復し、麻痺等の身体障害も生じていないとのことでした。
しかし、相談に同席された家族の方によれば、当初は「奇跡の回復だ!」と非常に喜んでいたものの、退院して日常生活に戻ってしばらく経つと、すぐにキレる、新しいことを覚えられない、浪費を繰り返す等、事故前とは全く別人のようになってしまっていることが段々と分かってきたということでした。一方、被害者本人は、自分が事故前と比較して変わってしまったという認識を全く持っていませんでした。
私は、この被害者は外傷性の高次脳機能障害を発症している可能性があるように思いましたので、①高次脳機能障害とはどのような障害であるのかについての一般論、②事故後に治療にあたった脳外科医が異変に気づかない場合もあること、③改めて医療機関を受診して検査を受けることも考えられること、④高次脳機能障害については自賠責保険における後遺障害として等級認定され、後遺症逸失利益や後遺症慰謝料が認められる根拠となることもあること、等を説明しました。