弁護士への相談事例集

自転車事故の加害者からの賠償額(慰謝料額)についての相談

記事作成日:

相談内容

当センターの面接相談で、損害賠償請求訴訟の被告として訴えられた交通事故の加害者から相談を受けました。

相談者は、歩道と車道の区別がなく、人通りの少ない道路の中央部分を自転車に乗って走行していたところ、同じ道路の中央部分を一人で歩いていた歩行者と正面衝突して怪我をさせてしまいました。

被害者は、転倒して足首骨折等の怪我を負い、約1か月の入院後、約5か月の間通院し、勤務先の会社もかなり休んだということでした。被害者から相談者に対し、治療費・休業損害・慰謝料等を合計して400万円余の損害賠償請求があり、相談者は「そんなに払えません」と回答したところ、訴えられてしまったとのことでした。

相談者は、自転車乗車中に他の人に怪我をさせた場合などに賠償金が支払われる賠償責任保険には加入していませんでした。

また提起された訴訟に対しては、弁護士費用の負担面から、弁護士には依頼せず、自分で対応する予定とのことでした。

今回は、訴状はじめ原告である被害者が提出した証拠書類と共に、予めご自身で作成した答弁書の案を持参されており、相談者作成の答弁書案の内容について弁護士の目から見て問題がないかアドバイスを受けたいとの希望でした。

弁護士の回答

今回の事例では

①訴状記載の原告の請求額には、入院中の個室使用料が含まれているところ、それが必要かつ相当な支出であったことを基礎付ける具体的事情(例:個室使用について医師の指示があった等の事情を示す証拠)が提出されていないこと

②休業損害については、被害者の基礎収入額や通院期間において休業があったことを示す証拠として、勤務先によって作成された休業損害証明書が提出されていないこと

③請求されている慰謝料の金額200万円は、交通事故の慰謝料などの損害賠償額の裁判基準となっている当センター東京支部発行の赤い本(正式名称:民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準)の基準である141万円と比べても多すぎること

④訴状の請求額は、加害者側の過失割合が100%との前提になっているが、相談者が説明する事故の状況を考慮すると、10%程度の過失相殺がなされるべきであること

等を、答弁書の主張に加えてはどうかとアドバイスしました。

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また「弁護士の見解・回答」は、記事作成時の法令に基づきます。 その後に法令が改正されている場合がありますので、御留意ください。

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