弁護士への相談事例集

物損事故から人身事故への切り替えについての相談

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相談内容

当センターの面接相談で、10日ほど前に事故に遭い、その場では、警察に物損事故(物件事故)として届け出たが、人身事故に切り替えた方がいいか、との相談を受けました。

相談者は、自転車を運転中、交差点で乗用車に出合頭衝突され、転倒する事故に遭いましたが、そのときはかすり傷程度で大したことはないと思い、加害者も違反点数の関係があるので物損事故扱いにして欲しいと言うので、警察には物損事故として届け出たとのことです。

しかし、翌日になって首と腰に痛みが出てきたので、病院を受診し、現在まで通院しているが、今からでも警察に届け出て、人身事故に切り替えてもらった方がいいか、とのことでした。

加害者の任意保険会社からは、まだ過失割合の提示は受けていないが、相談者としては、自分にはほとんど過失がないものと考えており、他方、事故状況について、ドライブレコーダー等の映像は残っておらず、目撃者も明らかではないとのことでした。

なお、加害者の任意保険会社は、警察に物損事故として届け出ていたとしても、治療費や休業損害等の支払には応じると言っているとのことでした。

【弁護士の回答・見解】

過失割合に争いがなく、加害者の任意保険会社も人身損害の支払に応じる旨明言しているケースでは、わざわざ人身事故に切り替える必要まではないこともありますが、本件では、事故状況に関する明確な証拠が乏しい可能性があり、加害者の保険会社が提示する過失割合によっては、過失割合の点が争いになる可能性がありました。

過失割合とは、交通事故の当事者双方にどれぐらい責任があるかを数値で表したものです。例えば、相手方が7割、自分が3割というように割合で表されます。交通事故によって生じた損害は、双方がそれぞれの過失割合に応じて負担することになるので、過失割合は自分が受け取る額・支払う額に直結する重要なものです。

過失割合は、警察が決めてくれるものではなく、実際の事故状況に応じて、過去の事故状況が類似した事故の裁判例を参考に、当事者間で協議して決めることになりますが、どうしても合意できないときは最終的には裁判で決めることになります。

過失割合を考える際には、基本となる事故状況の認識が重要で、ドライブレコーダーの映像、当事者が撮影した現場写真、車の損傷状況、目撃者の証言などが参考になりますが、人身事故の場合に、警察が作成する実況見分調書が事故状況の把握及び過失割合の判断に参考になることが少なくありません。

しかし、警察は、物損事故では、事故状況につき、簡単な物件事故報告書しか作成しません。物件事故報告書では、詳細な事故状況を把握できないおそれがあります。

そこで、相談者に対し、過失割合が争いになった場合に備え、人身事故に切り替えて、警察に実況見分調書を作成してもらった方が良いとアドバイスをしました。

相談者から、人身事故への切り替えはどのように進めたらよいのか、との質問を受けたので、医療機関で診断書を作成してもらう必要があるが、具体的な手続やその他の必要書類については、警察によって異なる可能性があるので、事前に警察に確認するのが良い、また、事故から人身事故の届出まで日数がかなり経過している場合、ケガが事故によるものか不明であるとして、警察が切り替えに応じてくれないことがあるため、なるべく早めに人身事故へ切り替えるよう、アドバイスしました。その上で、仮に、警察が切り替えに応じようとしない場合は、再度当センターに相談するようアドバイスしました。

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当センターの法律相談でよく相談される事例を参考として紹介しています。掲載にあたっては、相談者の秘密に十分に配慮するとともに、わかりやすい内容とするために、事案を加工し、抽象化、一般化、匿名化しています。

また「弁護士の見解・回答」は、記事作成時の法令に基づきます。 その後に法令が改正されている場合がありますので、御留意ください。

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